業務概要
橋梁は道路に附帯する重要な施設であり、地域の移動手段や災害時の緊急輸送路確保など、重要な役割を担っています。
高度経済成長期以降にその多くが造られ、建設後50年以上経過する道路橋の割合は、2023年時点で約39%、2033年で約63%と見込まれており、その割合は増加傾向にあります。
橋梁等の道路構造物においては、2014年(平成26年)に「定期点検要領」が策定され、その中で橋やトンネル等の構造物について、5年に1回の定期点検が義務付けられました。
当社では、レーダーやセンサーを用いた非破壊検査、ドローンや3D測量を用いた橋梁点検を実施することで、インフラ施設の損傷状況の把握を行い、損傷状況に応じて橋梁補修設計や橋梁耐震補強設計等を実施することでインフラ整備に貢献しています。 また、計画的な維持管理・更新等の方向性を示した「インフラ長寿命化基本計画」にのっとり、「予防保全」に基づくインフラメンテナンス計画を行うことで、インフラが持つ機能が将来にわたって適切に発揮できる、持続可能なインフラメンテナンスの実現を目指しています。
実施項目
- ■ 橋梁予備・詳細設計
- ■ 橋梁耐震補強設計
- ■ 橋梁補修設計
- ■ 橋梁定期点検
- ■ 橋梁長寿命化計画
- ■ 擁壁設計
- ■ ボックスカルバート設計
実施事例1
業務名 | 横断歩道橋設計業務 |
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所在地 | 神奈川県小田原市 |
発注者 | 万葉倶楽部株式会社 |
数量 | 歩道橋詳細設計業務 N=1橋 ・横断歩道橋予備設計(橋長L=31.0m、有効幅員W=2.5m) ・横断歩道橋詳細設計 ・既成杭詳細設計(回転杭) |
実施内容 | 本歩道橋は広域交流施設ミナカ小田原(3F)と小田原駅東口駐車場(2F)を結ぶ歩道橋であり、景観性・機能性・構造性・施工性を重視して設計を行いました。 景観性については景観評価委員の意見聴取を行い、コンセプトは「都会的でスタイリッシュなシンプルで飽きのこない街並みに溶け込むデザイン」とし、屋根形態についてはフラット型、屋根の柱構造については幅員が狭いので地上から見て目立たないように線路側からの片側張り出し構造としました。高欄はシンプルな構造とし、桁下および桁側面についてはルーバーを設置し、歩道橋の全体的な色については東口駐車場に合わせブラウン系としました。 機能性については、ミナカ小田原は小田原駅の改札から階段無しで繋がっており、歩道橋の階段を使用して登下校時に高校生が利用する事が考えられるため、階段の設置に配慮しました。また、歩道橋部に屋根を設置したことにより駐車場までの日よけ、雨よけの配慮を行いました。 構造性については、3次元動的解析を行い耐震性について十分に配慮した設計を行いました。 施工性については、当該歩道橋の基礎杭に対して、杭種・杭径の比較検討を行い決定しました。駅近傍で施工をすることになるので施工スペースを小さくする必要があり、比較検討の結果、回転杭を最適形式として採用しました。 |
実施事例2
業務名 | 橋梁補修設計業務 |
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所在地 | 東京都墨田区 |
発注者 | 墨田区 |
数量 | 橋梁補修設計 N=2橋 ・現状調査確認 ・各種補修設計 ・塗膜調査、鉄筋探査、・強度試験(反撥硬度試験6か所) |
実施内容 | 墨田区の横十間川にかかる錦糸橋(3径間鋼単純H桁橋 竣工後51年経過)及び栗原橋(単純鋼床版鈑桁橋 竣工後28年経過)について、調査結果を基に補修工法の比較選定や補修設計等を行いました。 錦糸橋及び栗原橋の床版、下部工、地覆等においてはひびわれや変形・欠損等が確認され、ひびわれについては、ひびわれ幅に応じて低圧注入工法と充填工法によって、変形・欠損については左官工法により補修することを提案しました。また、鋼材に塗膜劣化や腐食が確認されたため、Rc-Ⅱ塗装系で全塗装の塗替え、下部工については、コンクリートの劣化を予防するため、含浸材による表面被覆、伸縮装置について漏水や劣化が確認されたため、伸縮装置の取替えを提案しました。 なお、錦糸橋の高欄については高さが不足していることから、比較検討を行い、C種の鋼製高欄に取替えることとしました。 |
実施事例3
業務名 | 橋梁定期点検業務 |
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所在地 | 埼玉県三郷市 |
発注者 | 三郷市 |
数量 | 橋梁定期点検 N=55橋 ・現地踏査 ・近接目視点検 ・船による目視点検 |
実施内容 | 平成26年に道路法施行規則が改定・施行され、道路管理者は、橋長2m以上の道路橋を5年に1度、定期点検を実施することが義務付けられました。橋梁点検は「道路橋定期点検要領」に準拠し、既設橋梁の現状を把握し、異常及び損傷を早期に発見することにより安全・円滑な交通を確保するとともに、合理的な橋梁の維持管理のための資料を得るために実施するものです。 三郷市が管理する橋梁は、令和4年度現在で143橋架設されており、このうち、建設後50年を経過する橋梁は、全体の48%を占めています。 本業務は、定期点検の3巡目として、三郷市内全域の55橋を対象に現地踏査・定期点検を行い、点検調書を作成しました。舗装の陥没に至るような損傷等が発見された際は、その都度発注者と連絡を取り合い、早期対応が出来るようにしました。 |
実施事例4
業務名 | 防災広場・防火水槽詳細設計業務 |
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所在地 | 神奈川県横浜市西区 |
発注者 | 横浜市都市整備局 |
数量 | 防火水槽詳細設計 ・防災広場設計 A=150㎡ ・耐震性防火水槽詳細設計 40㎥ |
実施内容 | 横浜市西区内における防災広場に必要な器具(防災倉庫、かまどベンチ等)の選定や配置、広場の排水計画および、広場の地下に設置される耐震性防火水槽の詳細設計を行いました。 当該地は地質調査結果から軟弱地盤であるため、支持力の検討を行った結果、コンクリート製では支持力が不足し、杭基礎等が必要となりました。また、当該地へのアクセス路は幅員3.0mの狭隘道路のみであり、大型車両は通行できず、更に住宅地内であるため、施工ヤードとして使える用地もほとんど存在しません。 よって、本設計においては鋼製防火水槽を選定しました。鋼製にすることにより重量を軽くして直接基礎とすることができ、また、鋼製防火水槽は分割して運搬できるため、狭隘道路でも搬入や積卸が可能となります。更に、埋設は潜函工法を採用して仮設規模を最小限にすることで施工ヤードがほとんどなくとの設置可能となりました。 その結果、鋼製防火水槽本体はコンクリート製品より価格は高いですが、基礎構造や架設費用を考慮すると全体としては安くなり、最も経済的な計画を提案できました。また、施工工期も他案より短く、近隣住民の負担を軽減することもできました。 |